CASE STUDY

言葉を変えて、思考を変える。
"自分に責任100%"で達成を目指す
言葉を変えて、思考を変える。"自分に責任100%"で達成を目指す

クラレファスニング株式会社
代表取締役社長
田野倉 孔

事業内容:

日本で最初に面ファスナー“マジックテープ”の生産・販売を開始して以来50年以上、クラレグループの一員として、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し続ける。現在は「より信頼できる商品の提供」「人に優しい・地球に優しいものづくり」を積極的に推進中。


課題: 風土改革, 人材課題(従業員育成・人材採用), 売上・営業課題, 会議生産性
規模: 100名以上
業界: メーカー

10年前の効果を、再び

— 今回、「すごい会議」を導入いただいた経緯を教えてください。

( 田野倉 )

約10年前、クラレグループの歯科材料を扱う事業部と、その事業部の販売代理店で「すごい会議」を導入していました。導入によって成果が出たことで、今も尚、彼らの組織には「すごい会議」の手法が息づいています。

今回の導入は、10年前の会議メンバーであり、株式会社クラレの現代表取締役・専務執行役員の松山と、当時のコーチである大橋さん(現(株)すごい会議代表取締役)が、久しぶりに連絡を取り合ったことで「また導入しよう」と決まったと聞いています。

業績の不振。「できなくても仕方がない」を打破したい

— クラレグループの中でも、御社クラレファスニングで実施することになった理由、また、解決したかった課題を教えてください。

( 田野倉 )

まず弊社で導入する理由として、10年前に成果が出た歯科材料事業と同様に、弊社も代理店制のビジネス構造だからです。前回の成果を生かすためにも、同じビジネス構造の方が「すごい会議」がマッチするだろう、と候補に上がりました。

また二つ目に、クラレファスニング自体、立て直しが必要だったことが理由です。2017年までの中期経営計画(中計)は未達、社内には、はなから『達成できなくても仕方がない』といった諦めムードが漂っているような状態。

状況を打開し、次の中計こそ達成させたい。そんな思いで開始しました。

「もっと高い数値目標を目指しましょう」

— このプロジェクトで、どのような目標を達成すると決めましたか。

( 田野倉 )

2018年からの三カ年中期経営計画の達成、つまり業績改善が大目標です。

ただ、「すごい会議」では定量的な数値目標に加え、その達成によって“どんな存在になりたいか”というビジョンも目標に描きます。そして会議メンバーでビジョンをつくるうちに、「このビジョンを実現するには、もっと上の数字を目指すべきだ」という声が自然と彼らから出始めた。

結果、予想より遥かに高い数字が目標として設定され、先日まで諦めのムードは一変。その急激なモチベーションの高まりに、驚きました。

「自分に責任100%」という在り方

— 導入から1年を経て、どのような成果が手に入りましたか。

( 田野倉 )

中計の初年度である18年度の目標は、無事達成しました。19年度は苦戦していますが、『みんなでなんとかしよう』と粘っています。

販売部門、生産部門でも成果が出ています。例えば、マジックテープは糸を織ってつくるため、原糸に対して必ずロスが出るのですが、そのロスを減らすことで“原糸収率”と呼ばれる指標も改善しています。

最も強く感じる変化は、会議メンバー個々人が、本心から「自分に責任が100%ある」と口にしていること。『達成できなくても仕方がない』という雰囲気は、すっかりなくなりました。

①思ったことを、互いにしっかり発言する

— 何がその変化を生んだのでしょうか。また、ご自身にはどのような変化を感じますか。

( 田野倉 )

まず、自分自身で大きく変わったと感じるのは、“ちゃんと言う”ことです。以前は調和や役割を考え、多少思うことがあっても口には出しませんでした。メンバーもそうだったと思います。

でも、久保田コーチに「言いたいことは言ってください。そうでないと問題は解決しないし、あなた自身が100%の責任を負っているとは言えません」と言われ、腑に落ちたんです。口に出さなければ議論も生まれないし、その先のアイデアも生まれない。伝えることでエネルギー交換が生まれ、選択肢が広がる。

私が“伝える”ことを始めると、メンバーもつられて発言するようになり、具体的な策も生まれ始めました。

②「どうすればできるか?」の問いに向き合う

— 会議の参加メンバーには、どのような成長を感じますか。

( 田野倉 )

参加者である各部門の管理職メンバーに、『この会社を今後どうしていくか、自分たちに責任がある』という意識が生まれた気がします。

過去に、コスト削減のコンサルタントを入れたこともあるのですが、その時は、「これが無駄」「こうしてください」と指摘される度に、『正しいし分かってはいるけど。言うのは簡単だよね』と反発感情が生まれていました。

しかし「すごい会議」は、逆です。コーチは指摘も指示もせず、「じゃあ、どうすればできますか?」と問うのみなので、自然と、答えを“自分たちで”考え始めます。現場からも「自主的に問題に向き合うようになり、やりがいが出てくる」という声が聞こえます。

③“言いにくい問題”、“ひどい真実”を起爆剤にする

— コーチが会議で工夫したことを教えてください。

D 久保田 )

一つは、先程の“発言する・伝えること”です。僕には、みなさんが遠慮し合っているように見えたので、発言や行動を変えていただきました。

もう一つ、各自が思う『ひどい真実』=『暗黙の了解をやぶる、一番の問題』を挙げていただいたことは、突破口になったかもしれません。きちんと仕事されてきた方々なので、表面的な改善をしたところで、更なるインパクトは生まれにくい。

『ひどい真実』には、言えない本音や組織の根本的な問題が潜んでいるため、すぐに解決できずとも、言葉にするだけで、その後の思考や行動に変化が出ます。もちろん、解決できたときのインパクトも大きい。“解決できるか”よりも、“するつもりがあるか”が大事なんです。

そしてこれは、第三者のコーチが入るからこそ触れられる、重要な案件です。

( 田野倉 )

そりゃあもう、山ほどの『ひどい真実』が出ました。でも、今は課題が出るとワクワクします。もちろん解決は簡単じゃない。でも、このプロジェクトはチーム戦です。解決に向けて一体感を持ってアクションを起こす、その感覚にワクワクするんです。

曖昧な中でも、意思決定して正解をつくる

— どんな局面で、経営トップとしての“難しさ”を感じましたか。

( 田野倉 )

キツいのは、あらゆる問題について、常に議長席で“意思決定”を求められることです。

D 久保田 )

ビジネスシーンでの“決定”は、以外にも、流れの中で曖昧に決まっていくことが多いんです。そこを「数字は何にするか」「マイルストーンはどうするか」「どれを優先するか」と、無数にある選択肢から、明確に“意思決定”していただく。そして、その選択を正解にするために行動していただきます。

( 田野倉 )

『ぼーっとしてんなよ』ということですね(笑)。慣れはしませんが、さっきも言ったように、キツいほどワクワクするのも事実。意思決定するからこそ新しい課題や解決策が生まれ、一歩でも先に進みますから。

「言葉」が変わる、思考が変わる

— 「すごい会議」の一番の価値は何だと思いますか。

( 田野倉 )

考え方が大きく変わる”ことかな。試す前は、単なる会議の手法かと思っていましたが、全く違います。

「どのようにすれば」という言葉で次の思考が変わり、思いを言葉にすることで、今までにないアクションが生まれる。新しい方法と可能性を知り、自分の中になかった思考や体験を引き出してくれています。

— 「すごい会議」はどんな会社にマッチすると思いますか。

( 田野倉 )

販売系の事業に対して強みを発揮するのかな。販売以外の生産部門でも成果は出ていますが、定量化してマイルストーンを置き、PDCAでアクションし続ける、というプロセスなので、販売系は成果が出やすい。非常にマッチすると思います。

社員をコーチ化していきたい

— 今後、コーチや「すごい会議」に期待することとは何でしょうか。

( 田野倉 )

今はコーチがいることで、うまく運営できている状態です。「すごい会議」の効果は十分実感しているので、今後はコーチの視点や思考、手法を習得した人材を社内に育成し、浸透させていくことが理想ですね。

— ありがとうございました。

( 取材日:2019年7月)


               

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