事業内容:
2007年12月創業。全国20支店と沖縄県にグループ会社を展開。「全従業員の物心両面の幸福の追求」、「住環境において社会に貢献」、「会社の発展」の『三方よし』を経営理念とし、圧倒的な顧客満足度と社員満足度でリフォーム業界のリーディングカンパニーを目指す。
— 導入から約3年。導入当初にお話を伺いましたが、その後御社にどのような成長が生まれましたか?
(木原) 数字の面では、導入から2年間は「お客様の“満足”を得られた棟数」を指標とし、2,000棟という数値目標を目指しました。結果は1,947棟とわずかに至らなかったものの、そもそも非常に高い目標なので、この数自体が私たちにとっては今までにない成果です。業績全体で見ても、順調に伸びています。
また人材面では、営業本部長というNo.2の存在を生み出せたこと、新たな経営チームを作れたこと、そして彼らが経営者視点を持ち、自分ゴトとして組織を全体最適で物事を考えられるようになったことが大きな変化です。
— 様々な成長のなかで、御社で起こった最も価値あるブレイクスルーについてお聞かせください。
今年の年始に実施したセッションで、今後の会社の指標となる「感動」という新たなキーワードが生まれたことです。これまでの2年間は「顧客の満足」を指標に掲げてきましたが、それを「顧客の感動」に変えた、これは非常に大きな意味を持ちます。
(D森) この2年、毎年単年の目標を設定してその達成に向けて問題解決を進めてきました。しかし今回は、企業理念やビジョンを踏まえた上で5年という中長期的なゴールを作りたいというお話があり、数カ月前から準備した上で、最終的に2日間で10時間以上のセッションを実施し作り上げました。
(木原) 経営者として組織成長への強烈な願望と恐怖の両方がある中で、次のステージにシフトするためにも、改めて中長期的な目標を掲げ、そこに向けて一年ずつ一貫性を持って積み上げていくことが必要だと思ったんです。
— 「感動」という新たなキーワードはどのようにして生まれたのでしょうか?
(木原) 私たちの真のクライアントは誰か、選ばれる価値は何かを議論しながらも、なかなか“これ”というものは出ませんでした。2日目になり、改めて私たちが創り出しているものは何かと考えたときに、機能的価値だけではなく顧客の心の部分も含めた心的価値を備えて貢献していきたいという会話になり、メンバーから「感動」というキーワードが出たんです。
それは、お客様のアンケートに「家族との時間を取ろうと思った」「仕事を頑張ろうと思った」など、商品を超えてその方の人生に関わるようなコメントが書いてあることに気づいたのがきっかけでした。
自分たちのサービスによってお客様の心を動かす何か=「感動」を提供できているとすれば、それこそ最高の喜びだというのが全員に共通する意見であり、「これだ!」とブレイクスルーが起こりましたね。
— 何がそのブレイクスルーを引き起こしたと思いますか?
今までとの大きな違いは、「私たち」が社会や顧客に対してどうありたいか、を社員自らが考えたという点です。これまでは私が1人で解いた答えをトップダウンで彼らの目標に転換していました。
でも今回は、彼らが大事にしているものの中から生まれた本当の言葉であり、それに全員が共感して生まれた点に価値があります。
(D森) 全員が所有感を持てる目標が作れると、そこに向かうエネルギーは当然強くなります。目標が変わればそこへ向かうプロセスも変わる。その結果、今までとは違う成果を生み出せる。いかに良い目標を意図的に作れるかによって結果は大きく変わります。
(木原) これまでの「満足2000棟」という目標は、みんなで目指してはいたけれども、あくまで私が考えた目標でした。当時は他のメンバーからは意見が出にくい状態だったとも思います。
それが、今は私が話す以前に、彼らから提案が出てくる。ここ数年の間、共に問題解決をし続けたことで、彼らがよりシンプルに成長を求め出し、「今私たちは何の問いを解こうとしているのか」という当事者意識が醸成されたのを感じます。
— 社長が1人で戦っていた状態から、みんなで戦える状態になると、非常に強い組織になりますよね。何がその状態を生み出したと思われますか。
(木原) 採用方針、社風や理念など、さまざまな要因の掛け算があってのことですが、一つには、これまで私が兼任していた営業本部長という役職に社員を抜擢し、言わば組織のNo.2を初めて作ったことですね。
組織を盤石にするためにも、私は経営を担い、営業部門は他の人材に任せることの必要性は以前から感じていました。この実現により、「私(経営者)」の組織から「私たち」の組織へとシフトしようとしていることを、経営サイドが社員に意思表示できたと思います。
(D森) 営業本部長を立てるにあたり、人選や育成が必要だと考え、1年間の育成プランを実施しました。
その間、あえて木原社長はセッションに参加せず、営業のエリアブロック長が、交代で意思決定者役を担うという方法を実施。さらに本部長候補の方には、弊社のコーチ育成プログラムに参加いただいてコーチングや問題解決法を習得していただく形を取りました。
(木原) 私自身はその1年で、経営者は会議をファシリテートしてはいけないということを学びました。正解を握りしめている存在が場を仕切ると、それ以上の答えが出なくなってしまう。結果的に、私が出席しないことで彼らの自主性や「私たちがやる」という意識が高まったように感じます。
— コーチ育成プログラムによって、どのような成長が得られましたか。
私が感じる一番の変化は、彼らが常に「どうしたら問題が解決できるか」というあり方でコミュニケーションされるようになった点です。「誰が悪いか」ではなく「じゃあ、どうすればできるか」という姿勢でコミットし続けることで、周囲の行動や思考にも変化が生まれ、具体的な成果が表れています。
(木原) 彼はもともと成果を上げている人物でしたが、担当するブロックで担全社トップ成績の支店を輩出し、1年を通して彼のブロックはNo.1の成績をキープするという結果を出してくれました。
自分の我ではなく、徹底して企業理念や文化を優先する持っています。そこにコーチ育成プログラムを受けることで、彼自身が問題解決の会議を多く仕切る役割になり、自分が組織を引っ張っていくという意識を強められたのを感じます。
— コーチ育成のインタビューの際にも、ご自身でも「問題解決思考」への成長についてお話されていました。
(D森) 彼が営業本部長に就いたことで、セッションを経営トップチームと営業チームの2チームに分け、それぞれの問題へのフォーカスが可能になりました。
ここで改めて本当の「経営チーム」というものが完成し、経営トップチームは木原社長を意思決定者として中長期的な問題解決に取り組み、営業チームは営業本部長を意思決定者として短期的な問題を中心に取り組むという、効果的なセッション構造ができています。
— 各支店でも「すごい会議」のミニチュア版を実施されているとお聞きしました。
(木原) いくらトップチームで物事を決めても、現場で問題を正しく特定して解決する力を上げていかないと成果にはつながりにくい。最初は森コーチに一部の支店もサポート頂いたのですが、最終的には、現場ごとに問題解決力を高めるしかないと各支店で問題解決セッションを実施することにしました。
ブロックや支店ごとに実施できるよう私とブロック長で各地を巡っていて、その結果、「問題を解決しよう」という意識は底上げされ、正解や方法を一生懸命探す文化のようなものが生まれてきていると感じます。
— ここまで約3年間に渡り、継続契約いただいた最大の理由を教えてください。
継続した先に、『再現性高く結果を出す』仕組みが手に入ると思えたからですね。
もちろん数字が上がったということもありますが、一時的な結果が欲しければ、コンサルタントなど外からの力で業績を跳ねさせれば良いかもしれません。ただ、私が最終的に目指すのは、それを社内で内製化して自走させられる状態です。
問題の色あいや事象が異なっても、自分たちで考え解決できる人材を社内で育成し、機能する構造を作り上げることができれば、問題解決の再現性が高まり長期的な成長につながると考えるからです。
(D森) No.2を育成し、幹部メンバーが自主的に、勝手に問題を解決してくれるようになるためにも必要な期間だったと思います。
(木原) もちろん1年でも成果は出ると思いますが、私が理想とする長期的成長を目指すには、ある程度の期間が必要でした。目の前の目標をクリアすることに真剣に向き合い100%実行し、3歩進んで2歩下がるような試行錯誤を繰り返しながらも、その経験の蓄積によってブレイクスルーは起こります。
経験値を上げる必要があるからこそ、継続する意味があるのだと思います。
— 改めて、すごい会議の一番の価値はなんだと思われますか。
(木原) ゴールに向き合った時に起こるギャップや、答えのない、正解のない何かに向けてチームで船を漕ぎ続ける力、が手に入ることですかね。
立ち向かう問題が難局であればあるほど、途中でチームが空中分解する確率は高いと思います。それを「型」に沿って進めることで、やり遂げられる。チームとして成功体験を積み、言い合える関係、信頼関係が生まれるのでチームビルディングとして効果的な点が、他にない価値ですかね。
(D森) トップダウンで大きく変えるなら、経営者に対するエグゼクティブコーチングでもコンサルティングでも良いと思います。チームで強くなるというところが肝ですね。
— 改めて、今後のビジョンをお聞かせください。
社員やクライアント、地域社会に対して心から喜ばれるサービスを提供していきたいというのが創業からの理念としてあります。そこに向けて様々な問題にぶち当たるとは思いますが、今出来上がりつつある文化やつながり、信用があるからこそ、向き合い続けられると思っています。
— ありがとうございました。
(取材日:2019年5月)
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