事業内容:
男性向け脱毛サロン「MEN’S Clear(メンズクリア)」、女性向け脱毛サロン「STLASSH(ストラッシュ)」を主軸に事業を運営。メンズクリアは、メンズ美容市場で業界トップクラスの全国約120店舗を展開。美容ケア製品の企画・開発・通販、オリジナルの基礎化粧品等も提供販売している
— 約5年前に「すごい会議」を導入いただき、組織の成長フェーズに沿って活用いただいています。
導入時は男性脱毛市場の創生期。目の前の課題にひたすら向き合い、マーケットを牽引する存在としてトップスピードで事業を拡大することにフォーカスしました。約120店ある店舗の「事実」を把握し、“緊急度の高い問題”を最速で解決する場として「すごい会議」を活用したんです。
そこから数年を経た現在の「すごい会議」の活用意図は大きく二つ。一つは、当社には複数の事業があるため、メンズクリアの事業だけに思考を集中する時間として活用しています。
もう一つは、いわば第二創業期としての仕切り直しです。数年前に経営体制が変わり、市況も大きく変化した今、シェアNo.1として今後の事業計画をどう描くか。中長期的な戦略課題と真っ向から向き合っています。
かつては創成期として市場が爆速で成長していたので、そのスピードに追いつくことで精一杯でした。しかし、今は市場の停滞期。
幹部が一丸となる目標をつくり、そこに挑むべく「すごい会議」をシフトチェンジしました。
— 経営環境やマーケット環境の変化について、詳しくお聞かせください。
市場自体が成長しているタイミングは、資金を投入すればするほど売上利益も伸びる。毎月10店舗ずつ店舗を増やし、年商は300%成長を超える勢いでした。
しかし、コロナ禍を経て生活者の消費動向が一変し、美容脱毛市場は踊り場のように停滞しているのが実態です。
また、それと前後して会社の資本体系も変化しました。ワンマンのオーナー経営から、より大きな資本を持つ企業に属する形へと移行したことで、個人の明確なビジョンに基づいて高速に意思決定されていた以前と比べ、方向性が見えにくくなったことは否めません。
変化の渦中において、自分たちは何を成すべきなのか。僕自身の意思決定者としての覚悟を新たに、中長期ビジョンの作成に着手しました。
— 10カ月前のセッションDay1で新たな中長期目標を作成しました。何が変わりましたか。
やらなければ、と思いつつ、後回しにしていた中長期的な取り組みに着手しています。例えば、新たな収益構造や組織づくり。目先の利益でなく、未来に向けた“重要度の高い”問題解決に挑戦中です。
業績は安定的に黒字を継続しているものの、市況が厳しいことは紛れもない事実。会議で意思決定したことが実現するにはそれなりの時間がかかるので、あと半年、1年早く取りかかれていればもっと余裕ある戦い方ができた、と痛感しています。
— 具体的に、この1年でどのようなチャレンジが生まれましたか。
既存顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略にトライしました。『WEB広告×男性美容』で成長した事業なので、WEBを使った新規顧客の獲得には長けている一方、既存顧客との関係構築が当社の弱みでもありました。
しかし、中長期的な事業の存続には既存顧客へのアプローチが不可欠。現在の顧客や離脱した顧客にどんなアプローチが効果的なのか。繰り返しテストして検証し、言語化しています。
— 新たなチャレンジによってどんな気づきを得ましたか。
僕がいかに意思決定できていなかったか、ですね。久保田さんからの「やると旨味があることはなんですか」という問いかけに、“やった方がいい”ことのリストは脳内にあっても、肝心の意思決定ができていなかったと気づきました。以来、意思決定を後ろ倒しにしないことを今まで以上に意識しています。
— 中長期ビジョンを設定したことで、どのような変化が生まれましたか。
かなり大規模な“可能性”の断捨離ができています。“何もしなくて黒字”と、“やるだけやって黒字”は、意味合いが大きく違う。
意思決定のサイクルを早めたことで、進捗の数字をもとに最短でPDCAを回し、やり切って進めている手応えがある。「やったからこれだけ伸びた」「やりきってこれなら仕方がない」と、客観的に可能性を判断できています。
全幹部メンバーが「やるべきこと」を共通認識として持てていることも大きな違いですね。経営陣の視座がそろい、ベクトルが太くなりました。
ダメならダメと、はっきりさせて次に進む。状況が厳しいときほど明確化させる覚悟が必要です。その重みに耐え得るメンタリティを持つ勝沼さんだからこそ、断捨離しながら次の一手に挑める。勝沼さんの素晴らしさです。
— 検証サイクルの加速に、「すごい会議」のどのような仕組みが影響していますか。
「やる」と決めると同時に期日を設定することですね。期日を決めれば、進捗や結果が必ず問われる。しかも会議というオープンな場でタスクを分担してコミットしているので、やらないとみんなにバレてしまう(笑)。
やってできないならまだしも、「やっていない」とは言えません。この仕組みが効力を発揮し、「絶対にやる」というあり方に変わるんです。
— 今回のプロジェクトを経て、他の参加者にどのような変化が現れましたか。
中長期目標を言語化することで、意識すべき点、やるべきことについて共通の理解を持つようになり、彼らから出るアイデアが目標やコミットメントの基準に基づいた効果的なものへと変化しました。
面白いことに、創成期はそうした“基準”すらも持たない方が有利だったんです。未成熟でノールールな市場では、多少の無茶をしてでも大胆に走り続けることが成功の鍵。失敗も一つの成長痛と捉えました。
しかし、1,000人規模になった今は状況が違う。組織のビジョンを基準に、従業員のベクトルをそろえる重要性を学ばせてもらいました。
ここまで急激な市場変化を見せる業界は、そう多くはありません。しかもその沿革に沿って「すごい会議」を実施し続けている企業は、非常に珍しい。成長フェーズに合わせてこの会議をどう活用できるか、私自身も多くの学びを得ています。
— 市況的に厳しい今、「すごい会議」は何を提供していますか。
市況が苦しいときこそ目を背けてはいけない事実が大量にある。しかし、重みがあるからこそ意思決定のスピードも鈍る。そこを逃がしてくれないのがこの会議であり、久保田さんです。
僕が未来を見据えられないようでは、僕以下のメンバーはさらに目の前のことしか見えなくて当然。未来に向けた問題と対峙する場として機能しています。
僕が思うに、多くの人間は苦しいときにリスクを犯して行動するよりも、我慢する方が楽だと考える生き物です。パンドラを開けたくないのは自然な習性。
ただ、「すごい会議」を入れている限り、そのフタを開ける瞬間は必ず来る。保留せずに覚悟を決めて可能性を探す。キツい仕組みですが、次につながる希望はそこにあります。
— 久保田コーチが並走する価値をお聞かせください。
役職が上がるほど、周囲は何も言ってくれなくなる。本来ならば、30代前半の僕はもっと怒られ正されるべきなのに、この役職にいる限りはそんな機会もありません。
でもすごい会議」の場だけは、「年齢もキャリアも関係なくすべての意見がフラットに出る。久保田さんがいるから成立する場であり、僕にもメンバーにとっても大切な時間です。
また、先人たちの智慧を真似することで成功の確率が上がると考えると、さまざまな経営者のマインドに触れてきた久保田さんの意見は、非常に貴重。「このままだと危険です」「エネルギーが落ちましたね」「雰囲気がよくないですよ」と、ズバッと忌憚ない意見をくれるのがありがたい。
他のコーチのセッションを受けたこともありますが、僕らには久保田さんでなければダメでした。
— 勝沼さんにとって、「すごい会議」とはなんですか。
「今、何が必要か」を真剣に考える場、ですね。創成期も今もそこは共通しています。日常に忙殺されるなかで、意図的に設けない限り手に入らない時間だからこそ時間もコストも投下する価値がある。
「何がなんでもやる」という経営者の覚悟があってこそ「すごい会議」の力を発揮できると思うので、一つの事業に全体重を置いている企業の方が、逃げ場がない分効力は増すかもしれません。意思決定者やコーチのリソースを最大化し、新たな可能性を見つけにいけるはずです。
— 組織の成長フェーズにおいて、「すごい会議」の活用に最適なタイミングはいつだと思われますか。
事業が順調なときですね。単純に、資金に余裕があるほど挑戦への選択肢は増えます。また、事業が上り調子のときは誰もが調子よく寄って来るので、そんなときこそ苦言を呈して注意喚起してくれる存在が大切になる。
自分の目が曇って見えにくいときに、人や環境の微細な変化を嗅ぎ取り、中立な目線から意見して気づかせてくれるのがコーチです。
— 次の「すごい会議」の1年間で、何が手に入れば大成功と言えますか。
極論、この会社が僕にも「すごい会議」にも頼らずに、中長期に存続する道筋が見えたら最高ですね。業界No.1をキープしながら、何にも依存しない事業の仕組みをつくりたい。
今日までの1年も非常に重要でしたが、来年は一層、僕らにとって重みのある年になる。5年後を見据えたビジネスモデルを、今、ここから構築していきます。
— ありがとうございました。
( 取材日:2023年12月26日、場所:株式会社クリア、インタビュアー:渡辺恵)
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